嶋田 至のブログ
リフレクション(内省)の連続研修をやってみて
2021-12-09
先日、ある公共団体の職員さんたちに、リフレクション(内省)の連続研修をさせていただきました。
リフレクションは、体験をふりかえることで新たな行動仮説をたてる学習法です。
自分の体験をもとに学びなおしていくので、「経験学習」とも言われています。
私たちが仕事を覚えてプロフェッショナルに成長していく過程では、さまざまな学びがあります。
はじめは上司や先輩に教えてもらうことが多く、その後は本を読んだりセミナーを受けたりすることで、成長に必要な学びを補充していきます。
さまざまな学びのなかで、仕事を通じての気づきが大切な学びにつながったのではないでしょうか。
成功体験をふりかえってその行動を継続する。
失敗体験をふりかえって改善を試みたり、助言を得たりする。
仕事をふりかえりながら工夫や改善を繰り返すことが、仕事のコツを覚え、プロとしての直観やスキルを磨いていったことと思います。
その意味では、私たちはふだんからリフレクションをしていることになります。
では、なぜあらためてリフレクションを学ぶのかというと、リフレクションには多層なレベルがあるからです。
たとえば、ある結果を得るためにある行動を考え、それを実行します。
期待した結果が得られなかったら、行動を改善したり工夫したりします。
何度か試すうちに、期待どおりの結果に近づくかもしれません。
これもリフレクションの一環ですが、あまり深くないレベルと考えられます。
リフレクションで大切なことは、今おこなっている行動を多様な視点から俯瞰することです。
ある結果を得るためにある行動を考え、実行する。
何度か試して期待した結果が得られなかったら、「本当にこの行動でいいのか」「他に選択肢はないのか」を考えます。
そして、新たな行動を考え、実行します。
あるいは、いま取り組んでいることを自分たちのミッションと照らし合わせてみます。
もし、もっと優先することが見出されたなら、今のタスクを後回しにすることも考えられます。
自分の感情に注目することも大切です。
いまの行動に取り組みながら、自分のなかにどんな感情が湧きおこっているのか?
無理のある行動や価値観に反する行動に取り組むとき、身体は敏感に反応することがあります。
いま生じている感情に注目し、その要因を探求することで、より適切な行動が見出されることもあります。
さらに、いま取り組んでいることを同僚に語り、相手の反応をみたり助言を聞いたりすることで、あたらな視点を得ることもできます。
自分には無かった視点を得ることで自分が当たり前に思っていた「前提」が疑われ、より良い思考や行動を探ることが始まります。
これまでの行動の前提を疑い、軌道をすこし離れたところから新たな行動を試してみることで得られるものもあるはずです。
成功体験を積み重ねてきた人ほど、リスクのあることを試すことは避けがちです。
だからこそ、これまでとはちょっと異なる視点で今の自分を見直すことが必要です。
リフレクションの考え方を知ることで、そのような行為のきっかけにもなります。
さて、研修先の皆さんの反応は、一応は良いものでした。
日頃から自分の行動をふりかえる習慣をもっておられる人もおられます。
そんな人たちは、自分の行動を自信を持って続ける動機づけになったかもしれません。
また、自分の感情に注目して考えてみることも、新鮮だったようです。
経験を積んだ人たちは、コミュニケーションなどのヒューマンスキルについての持論を十分にお持ちでしょう。
新たな知識を得ることよりも、自分自身の豊富な経験から学ぶことが大切です。
リフレクションを実践し、そのレベルを深めていくことで、さらにプロとしての成長が促されるのだと思います。