嶋田 至のブログ
ファシリテーションの基本~会議をオブザーブして
2019-06-28
以前、ある企業の管理職会議をオブザーブさせていただきました。
粛々と議事がすすむなか、ある参加者が疑問を感じて質問をしました。
会議の主宰者が説得するように話し、質問した人は「わかりました」と答えます。
でも、その人の表情をみると、疑問が解消した様子はうかがえません。
人が集まってともに何かに取り組むとき、そこにはさまざまな「懸念」が生じます。
懸念は、不安や気がかり、恐れや不信感と言うこともできます。
懸念が高いと、お互いを受けいれることが阻まれ、不信感が高まったり、率直なコミュニケーションが困難となります。
「私は仲間として認められているだろうか?」
「こんなことを言ったら、評価が下がるのではないだろうか?」
「提案するとその仕事を押し付けられるかもしれない」
「この話し合いの目的って何だっただろう?」
懸念が高いと、各々の発言や行動にストップがかかったり、協働の関係性を崩してバラバラな集団に変えていきます。
できるところから、懸念を低減していくことが、皆の知恵を集める場づくりにつながります。
場づくりをするとき、まず「今ここにどんな懸念があるのか」に注意を向けます。
一人ひとりの懸念が表明されることは、まずありません。
一見、和気あいあいとした雰囲気のなかでも、そこにいる人たちは大きな不安を感じていたりすることもあります。
この場にある懸念は、一人ひとりの表情や姿勢、行動によって、また集団全体の雰囲気によって推測します。
正解かどうかはわかりません。
だから、自分が感じた懸念を、皆に問いかけてみたりもします。
また、すこしでも懸念を低減するような言動をします。
皆の知恵を集める場をつくるためには、「今ここにある懸念」に注目し、懸念の低減に向けて自ら一歩を踏み出すことが大事だなと思います。
ファシリテーションの基本は、こんなことです。