嶋田 至のブログ
地域福祉の連携に求められる「関係の質」の視点
2018-09-02
ここ数年、福祉関係の方々から相談を受けたり、研修や組織開発の問い合わせをいただくことが増えてきました。
施設内のチームづくりについての案件もありますが、それ以上に、地域連携や組織間連携など、複数の組織や異なる専門分野に携わる人たちの協働についての「お困りごと」が多いです。
たとえば、異なる組織、異なる職種の人たちが集まって話しあいの場をもっても、建設的な意見が出なかったり、感情的になって意思決定ができなかったり...といったことです。
また、地域での協働においても、コミュニケーションのミスが生じて必要な情報伝達がなされていなかったり、ぎくしゃくした関係になったりすることもあるようです。
職種や立場によって、持っている情報も知識も異なります。さらに、「なにを優先するのか」といった価値観が異なることがあります。
情報や価値観、各人の仕事への思いを共有しないで協働を試みても、どこかで齟齬が生じるでしょう。
情報やアイデアを共有することとあわせて、一人ひとりの「想い」を共有することも大切だと思います。
強い組織づくりの「循環」は、「関係の質」を高めることからスタートしなければならないと言われています。
話しあいの場に集まった人たちが、お互いを理解し、相手の思いを受け容れる態度をしめすことが、その場の心理的安全性を高めます。
そして、その後の話しあいや協働に、良い影響を与える場合もあるのだろうと思います。
福祉の現場は千差万別で、「こうすればうまくいく」といった万能の処方箋などありません。
ただ、「関係の質」を高めるという視点で、現状の関係性を俯瞰してみると、なにか新たに試してみたいことが見えてくるかもしれません。
皆、真摯に自分の仕事に取りくみ、「もっと良くしたい」と思っておられるからこそ、「関係の質」という視点で新たな試行を探ってみることが大切だろうなと思います。