嶋田 至のブログ
リフレクション(内省)に必要な力~俯瞰し、自己に向きあう力
2018-07-31
以前、「リフレクションによる人材開発」と題した公開セミナーを開きました。
リフレクション(内省)の概要をお話しした後、リフレクションのスキルを養う手法として、「ラボラトリー方式の体験学習法」を体験してただきました。
リフレクションは、人材開発の重要な学習法です。
仕事での成功体験や失敗体験、ちょっと気になる体験などを、丁寧にふりかえります。
その体験にはどんな意味があったのかを吟味し、他に選択肢はなかったかを探り、次に同じようなことがおこったときにどんな行動をすればいかという「仮説」をたてることです。
仕事において人が成長する要因は、さまざまな体験を通じてであると言われますが、リフレクションは体験から学び成長していくプロセスを構造化したものとも言えます。
リフレクションはここ数年、人材開発や組織開発において、流行のキーワードです。
毎週30分間のリフレクションを習慣化する企業があったり、部下のリフレクションを上司が支援するような取り組みも増えてきました。
リフレクションの取り組みが広がっていくのはとてもうれしいことですが、いつも感じる懸念が、「皆、なにをふりかえっているのだろう?」ということです。
リフレクションが適切に行われない場合、新たな学習がおこらず、同じ失敗を繰りかえすことにもなりかねません。
リフレクションを適切におこなうためには、次の5つの力が求められると思います。
・自分の感情に気づく力
・出来事の全体像を把握する力
・自分や他者への影響に気づく力
・他の選択肢を見出す力
・探究したことを仮説としてまとめる力
これらをひとことでまとめると、「俯瞰し、自己に向きあう力」と言うこともできるかなと思います。
これらの力は、リフレクションを継続することで徐々に養われてくることもあるかもしれませんが、自分の思い込みや自分の影響力に気づかない場合、適切なリフレクションの障害になることもあります。
私たちは、これらの力を養う方法として、「ラボラトリー方式の体験学習法」による学習をお薦めしています。
この学習法は、心理的に安全な「ラボラトリー(実験室)」を設けて、そこでおこったことをふりかえることで新たな行動を学ぶ学習法です。
グループで課題に取り組み、取り組んだ後、そこでおこった出来事やそれによる影響(行動や思考、感情)をおたがいに指摘しあい、なぜそんなことが起こったのか原因を考え、より良い影響をあたえるためには自分はどのようにかかわればいいかという「行動の仮説」をたてます。
職場のコミュニケーションやチームづくり、組織開発などでよく活用される学習法ですが、リフレクションのスキルを養うにも、最適だろうと考えます。
リフレクションは体験からふりかえるまで、ある程度長い時間軸がありますが、体験学習法では、「いま、ここ」の出来事に焦点をあててふりかえります。
疑似的にリフレクションのトレーニングをすることになるので、何に焦点をあてたらいいのか、自分はまわりにどんな影響を与えているのか、深くふりかえるとき何が障害になるのかなどを、見出すことが期待できます。
まず、体験学習法で「体験をふりかえる視点」や「ふりかえるためのスキル」を得るとともに、「自分の影響力」を把握しておくことが、リフレクションンの実践に役立つことと思います。
公開セミナーでは、そんなことをお伝えし、ふりかえることの実践をしていただきました。
今後も、人と組織の成長につながるリフレクションをお伝えする場を設けていきたいと思います。