AI(アプリシェイティブ・インクワイアリ―)
AI( アプリシェイティブ・インクワイアリー)ワークショップ実際
2019-06-15
Appreciative… 真価を認めるような Inquiry … 探究/発見/問いかけ
Appreciative Inquiry では、「対話」を通じて、組織や社員のポジティブな面、内在する可能性を認識して強化していきます。こうして組織内で対話していくことにより、組織の理想像、ビジョンが構築され、それに向かって何をすべきかを理解していくことになるのです。
問題解決型アプローチでは「改善すべき問題」が出発点であり、問題の特定、原因分析・・・と着手していきます。これに対してAppreciative Inquiryでは、インタビューや対話を用いながら下記の4つのプロセスで、前向きな変革を起こします。
- Discover ・・・過去や現状における成功体験などから組織の価値や強みを見出す。
- Dream ・・・ 組織や個人の持つ長所や内在する可能性をもとに、組織の理想像・ビジョンを描く。
- Design ・・・ その理想像やビジョンを具現化させ、組織の設計をする。
- Destiny ・・・ その理想像に向けて組織改革を実践し、持続的に取り組む。
AIは以下に示す4つのDにそって進みます。
1 Discovery 2 Dream 3 Design 4 Destiny
1 Discovery (潜在力の発見)
参加メンバーが2名一組で十分時間をかけて、相互インタビューを行います。例えば、「もっとも生き生きと充実していた体験を思い出してください。」「どのような思いや信念が、あなたをその体験に導いてくれたと思いますか?」「その体験で、すばらしい状態に導いた要因は何だと思いますか?」「やる気に導いてくれる要因(源)にはどのようなことがありますか?」のような項目で相互インタビューした後に、グループを作り他己紹介します。そして、それを全員で共有し、チームのポジティブコアについてイメージを共有します。
チームのポジティブコアについてメンバーで対話し、それを象徴するようなオブジェを作り、全体に共有します。ここで、組織のポジティブコアが共有化できるのです。このオブジェを作るという遊びのようなワークが、本質をあぶりだす効果があるのです。
Discovery、特にペアインタビューからシェアの一連の流れは、チーム
の信頼性醸成にとても大きな影響があります。
2 Dream(私たちの夢)
Discoveryで明らかになった思考、思いをもとに「どんな組織になりたいか」とテーマに語り合います。
個人で10年後の未来を考え、それをチームで共有します。
コミュニティーの夢
- 私たちコミュニティーはどんな存在か
- どんな貢献をしているのか
- どんな支援を受けたか?
- 私たちのコミュニティーが社会にどんなインパクトを与えているのか
などのことを考えながら、模造紙に描いたり、全員で演じてみたり、象徴するものを作り発表します。
3 Design(未来に向かうデザイン)
ありたい姿を実現するために、私たちのコミュニティーの夢を実現させるためにステートメント(チームのビジョン宣言文)を作ります。「最高のコミュニティーを実現させる行動指針」をチームごとに作り、ここから組織全体のステートメントを作っていきます。
4 Destiny(運命・試してみる)
Dreamに向けて、Design(行動指針)を踏まえどう進めるか、アクションプランを作ります。ここはdesignで出たステートメントからいくつかの単語をだして、それをテーマに自由に集まり具体的行動計画を作ります。
【AIの魅力】
問題解決アプローチは、最初は勢いよく進むのですが、問題は次々出てくるので、メンバーは疲弊していきます。AIに魅力は、ポジティブな気持ちで自分たちで行動計画まで作ると自発的に実行したくなるということと、実際の行動までいかなくても、少なくともメンバー同士の信頼関係がとても強くなるということでしょう。
アメリカの航空会社の例ですが、乗客の預り荷物の迷子が多くそれを何とかしたいというテーマが上がったのですが、実際のテーマは「最高の到着体験を提供するには?」でした。
アプリシェイティブ・インクワイアリー(真価を認める問いかけ)を象徴していると思います。
【期間】
いろんなパターンがありますが、4Dを体験するには、2日間が最適。4回ぐらいに分割も可能です。
組織全体の変革を目指すには、数か月かかります。アプローチとしては、コアチームを作り、そこでAIの研修をし、ファシリテーションを学んで、自分たちが現場の中で進めていくというパターンが多いようです。
組織の幹部メンバーで最初に行うと、上層部の変革に対するコミットメントが高まります。
組織全体で行う時は、どこかの部門でお試しで実施し効果を確認して、全組織に展開するのがお勧めです。
LLCチーム経営 広瀬義浩
hirose@teamkeiei.com