長尾 文雄のブログ
自分を伝える2(人間関係塾1時間目)
2015-09-28
人間関係塾1 自分を伝える2/2
◇人間関係づくりの学び
人間関係塾での学びの目標は、サービスを提供する背後にある人間関係づくりに影響を与えている要素に気づき、自己点検することです。
人間関係づくりの学びには、マニュアルも正解もありません。この人間関係塾もマニュアルを提供したり、正解を教えたりするものではありません。
私が属している聖マーガレット生涯教育研究所(SMILE)は、ラボラトリー方式の体験学習法に基づいた研修を行なっています。
この研修は、参加者が主体的に人と関わる場面をつくり、そのかかわりの中で、自分の感覚、考え方、感情、欲求、行動などの特徴に気づき、どのようにコミュニケーションをとればよいかを試み、どのようなコミュニケーションのあり方が自分にとっても相手にとっても心地よいものであるか探るのです。またたとえ葛藤が起こったとしても、相手とともに葛藤を乗り越えるやり方を見出すことにあります。
参加者同士で試行錯誤しながら学ぶのです。それを促進する役割をファシリテーターと呼んでいます。
この人間関係塾では、皆さんに文章を読んでいただき、日常の自分自身の人間関係の場面を思い描きながら、自分のコミュニケーションのあり方を点検し、自分にとって相応しいあり方を見つけ出すきっかけとしていただければと願っています。
◇自分を伝え、相手を受け取る
初対面の人と人間関係をつくる場面をイメージしてください。
あなたは挨拶をしますね。「こんにちは」と声をかけ「私は○○というものです。」「あなたは?」「どちらからこられたのですか」などと展開しますね。
それに応えて相手は「私は○○ですが、□□□から来ました」と会話が続いていきます。
人に関わろうとするときに、まず、自己紹介をします。これは自分の情報を伝えることです。ここでいう情報とは、名前や職業、所属などの外面的なこともあるでしょうが、自分のいまの気持ちや気分、考え方、どのような欲求を持っているかなどを含みます。
初対面では、外面的なことを少し話しながら、少しずつ気持ちや気分など内面的な情報を伝えていきます。これを自己開示と呼んでいます。
相手はそれに応えて、同じように名前やいまの気持ちを伝え返してくることでしょう。
ここで相手が自己開示してくれたら自分もするのにと思っていたら、関係は築けません。この人と関係をつくりたいと願うならば、少し勇気を持って自分の情報を伝えるのです。
そして、「あなたにとても関心がありますよ」「あなたとお近づきになりたいです」という思いを言葉はもちろんのこと、表情や態度でも表すことが大切なのです。
◇自分を知る
この初対面の場面から言えることは、自分のことを伝えるためには、自分が自分についての情報をしっかりととらえている必要があります。
つまり、いま、ここにいる自分は、どんな感じ方をしているのか、どのようなことをどのように考えているのか、いまの気持ちや気分はどのようなものなのか、いま何をしたいと思っているのか、などなど、いま、ここに存在している自分自身に気づいていることです。
自分を知るということでもう一つ大切なことは、自分とは何者であるかを、どの程度明確にしているかということです。つまり、「私は・・・です」という文章をいくつか完成してみてください。
たとえば「私は、長尾文雄です」「私は65歳の男です」「私は読書が趣味です」「私はよく人の話を聞きます」「私は気が弱いです」など。できるだけたくさん、いまの自分を表現してみてください。ここで表現できたことが、自分が自分を知っている部分なのです。
表現ができると言うことは、自分の強み、弱み、長所、短所をひっくるめて、自分の価値を認め受け入れているということになります。これが自己概念です。
しっかりとした自己概念を持っていると、「私はこういうものです」と自信を持って自己開示することができます。逆に、あいまいな自己概念の人は、相手に気後れしたりあいまいな表現になったりして、十分に自己開示ができないのです。
さて、いまの皆さん自身は、どのような自己概念を持っているでしょうか、そんな自分を受け入れているでしょうか、点検してみてください。