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長尾 文雄のブログ

自分を伝える1(人間関係塾1時間目)

2015-09-14

人間関係塾1 自分を伝える1/2

◇客としての私の体験

私は幼いときから近所の散髪屋さんを利用してきました。親父も兄も弟もお世話になっていたのです。おじさんとおばさんの二人で店を切盛りし、繁盛しているときは、見習いの職人さんがいたように思います。
幼いころはバリカンで刈ってもらって丸坊主、中学高校生では、二分刈り。大学生になってやっと七・三のカットとなりました。1960年から70年ごろは、フォークソングが大流行の時代、若者は歌手たちを真似て、長髪が流行となります。20代後半から30代前半の私も大学に勤めていたこともあって、耳が隠れるほどの長髪にしていました。

このように年齢を加えるごとに、好みが変わる髪型を、心得て散髪屋さんのおじさんは整髪をしてくれたのです。

散髪屋さんの椅子に座ると、「きょうはどうしようか?」と聞かれるので、「いつものとおりでいいよ」という会話で、ハサミが動きはじめます。

軽快なはさみの音を聞いていると、すっかりリラックスをして、うとうととするのです。はさみが終わると、それとなく目が開くのも不思議です。すると鏡に映る顔と頭を見せながら、言葉少なに、「これでいいかな?」と声をかけて、顔剃りにすすむのです。ここでも目を閉じて顔を剃ってもらい、髭を当たってもらうときもまた、うとうと。
散髪屋さんの椅子に座ると、すっかりリラックスしてしまうのです。

いまから二十五年ほど前、修行に出ていた息子さんが店を継ぎ、先代のおじさんは亡くなってしまいました。それを機会に、店はカットハウス・○○○○としゃれたカタカナの名前になり、店の内装も今風に変えて営業をしていました。
息子さんとの付き合いもすでに20年を超えて、先代と同じように、椅子に座れば、わずかな言葉を交わして、ハサミの音がしはじめます。先代のときと違うことは、私の身体の様子をたずねたり、軽い世間話をしたりしながら、ハサミを動かすことです。

時が流れて、いまから三年前、息子さんは自分の店を持つという夢を実現するために、新興住宅地に店と自宅を建てて転居していったのです。
私は慣れていた散髪屋さんをなくして、どうしようかと途方にくれ、ほかの店を何件か探して、散髪をしてもらったのです。しかし、何かフィットせずに数ヶ月を過ごしました。
そうしていると、もとの店は彼の母親が住んでいて、店はそのままにしてあったのです。彼は親孝行もかねて、自分の店の休日を利用して、元の店で昼過ぎから夕方ぐらいまで、営業をするという知らせが入りました。

それ以来、月1回か3週間に1回、いままでどおりに、安心して散髪をしてもらうことになったのです。
私にとっては、このカットハウスは、リラックスの空間と時間であり、癒しの場となっているのです。

◇人間関係を築く

私の経験から話をは

Johanna84 / Pixabay

じめましたが、かっとハウスという空間が、客と理容師、美容師さんとの人間関係の場であることがよくわかります。
客は、カットや整髪などの目的で店を訪れるのです。客は理容師・美容師のカットなど技術を買いに来るのです。そのサービスの評価のポイントは二つです。

一つは、自分の好みにあったカットなどをしてくれるかどうかということです。
二つ目は、サービスが心地よく提供されるのかということです。

一つ目のカットなどの作業は、技術の習熟度と創造性の質が問われます。これは実技の練習や本番を重ねることで、わざを磨いていくことができます。

二つ目の心地よくというところが大切なのです。作業の手際がよくてスムーズなことが、心地よくの前提であることはもちろんです。それに加えて、サービスを提供されている間、客は作業をしている人の声や表情、態度などを敏感に感じ取り、この店員に安心して整髪を任せることができるかどうかを判断しようとしているのです。

一度、その安心感を持つことができると、カットハウスの椅子は、整髪を媒介にした安心できるリラックス空間になるのです。
1対1の関係で、客と店員、理容・美容のサービスを受ける人と提供する人というのが、表の関係とすると、裏では技術だけではなく、安心感や信頼感を求める人とそれに応える人という関係にあります。
理容・美容の仕事をこのようにとらえてみると、広い意味での対人援助職なのではないかと私は思っています。

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