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嶋田 至のブログ

ケアするのは誰か? 新しい民主主義のかたちへ

2022-05-26

タイトルに興味をもって、ジョアン・トロントの『ケアするのは誰か? 新しい民主主義のかたちへ』(Who Cares?)を読んでみました。
   
この本の第1章はジョアン・トロントの講演記録、第2章と第3章は翻訳者の同志社大学教授の岡野八代さんによる解説です。
この本のなかで、以前『ニューヨークタイムス』に掲載された、こんな小噺が紹介されています。

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3歳の子は窓越しに裏庭を眺めていて、大きさのちがう4匹の鹿に気づいた。
「ねえ、見て、鹿さんの家族。お父さん、お母さん、赤ちゃん、そして、ベビーシッターだよ」
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ケアとは、気遣いや配慮、思いやりなどを意味する言葉です。
さらにケアの実践として、育児や介護、看護などの労働があります。
​私たちは生まれた時からずっと、多かれ少なかれ何らかのケアを受けています。
でも、ケアをする人とケアを受ける人の間には「分断」があります。​
​ケアする人たちは、おもに​女性、外国人、有色人種といった社会的立場の低い人たちです。
ケア労働の社会的評価が低く低賃金だからですが、多くの人たちはその「分断」を当然のように受け入れています。

「女性は育児がうまいから」
「外国人はケア労働に向いているんだ」
そんなことを考えながら「分断」を当然のように受け入れているのです。

この本では、そんな「ケアの分配」の偏りが、民主主義の実践の障害となっている様子を明らかにしています。
民主主義は、人々がより人間らしく、よりケアに満ちた生活を送ろうとするのを支援するシステムと考えることできます。
つねに「Who Cares?」という視点をもち、ケアを「ともにおこなう」機会を広げていくことが、民主主義を深めていくのにつながるのかもしれません。

少々とっつきにくい本かもしれませんが、ケアの視点から今の社会を再考するための、大切な視点を与えてくれる本だと思います。

『ケアするのは誰か? 新しい民主主義のかたちへ』(現代書館)

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