人間関係塾4時間目  共感1

 
 人間関係塾では、一時間目では、「自分を伝える」、そのために自分を知ること、二時間目は、「相手をよく知る」ために、「みる力」を、続いて三時間目は、「きく力」を養いました。そして、私たちの前に現れる人を、違った個性を持った人として尊重することを学びました。
 最後の四時間目は、より親密で、お互いが安心できる、信頼関係の場を築いて行くためのキーワード「共感」について学んでみましょう。

 理容師・美容師の皆さんは、広い意味での対人援助職であり、カウンセラーなんだと言ってきました。
 カウンセリングという言葉を聞くと、皆さんは「相談」という二文字が連想されるでしょう。「相談」と言うからには相手の話を聴くだけではなく、何らかの解決策を提示しないといけない。そのためには専門的な知識や経験を持っていないとカウンセリングはできない。

 これが一般的なカウンセリングの理解です。もちろん専門職としてのカウンセリングは、近年「臨床心理士」に代表される資格を取得し、スクールカウンセラー、産業カウンセラーとして仕事をしています。そのためには、専門の大学院や専門的な養成機関での研修と実地訓練を重ねる必要があります。

 私が、皆さんにお伝えしているのは、このような専門職としてのカウンセラーになってほしいと願っているわけではありません。
 地域社会で根付いている理容店、美容店で客を迎えて、理容や美容のサービスを提供し、お客様が安心して椅子に座り、皆さんのサービスに身を任せ、心安らかな時間を過ごし、身も心もさっぱりとして店を出る。そんな豊かな時間を提供できるようになっていただきたいと願っているのです。

 
◇素人の聴き手になる

 私は、二四時間体制で電話相談をするボランティア相談員の養成にも永年携わってきました。この相談員養成は、専門家の養成ではありません。あくまでも素人、こういう言い方は失礼ですが、ご近所のごく普通のおじさん、おばさん、お兄さん、お姉さんが、専門的な訓練を受けて、匿名でかけてくる人々の話を聴くのです。それは、何か悩みに解決策を与えるとか、気の利いたお説教をするというものではないのです。

 よき隣人として、悩みを持つ人の気持ちを聴き、「共感」する訓練を受けるのです。あくまでも素人として、匿名の人のいまの気持ちに寄り添うのです。

 この訓練は、相手の悩みや気持ちにじゃまをしないで、共感を持って聴く訓練です。そのためには、自分の気持ちに気づき、自分の考え方に気づき、それをしばらくの間、横に置いておく、そのような訓練なのです。