LLCチーム経営

合同会社チーム経営(LLCチーム経営)

嶋田 至のブログ

レジリエンス(回復力)のベースは脆弱さと人間関係

2020-01-22

2020年1月の大学入試センター試験の国語の問題に、「レジリエンス」が取り上げられていました。
   
レジリエンスは「回復力」と説明されます。
元々は自然科学の分野で用いられ、その後、心理学や福祉、企業におけるリーダー育成などでも、幅広く用いられるようになった概念です。      
  
試験で引用された文章は、河野哲也さんの『境界の現象学』からの抜粋です。
このなかで、レジリエンスのひとつの説明として、ヨットのなかでコップ一杯の水を運ぶ様子が例示されていました。
港に停泊しているときは容易に運べますが、荒海を航海しているときは倒れずに歩くだけでも困難です。
転ばぬように膝を緩め、突然やってくる船の揺れを吸収し、うまくバランスをとるなど、さまざまな妨害要因を吸収する能力を高めることが必要です。
これがレジリエンスを高めるということです。    
   
レジリエンスは、たんなる屈強さや頑健さ、打たれ強さとは少々異なる考え方です。
レジリエンスで重要なキーワードは、「脆弱さ」だと言われます。
脆弱さは、不規則な変化や刺激に対するセンサーとなります。

柳の枝をイメージするとわかりやすいかもしれません。
柳の枝はわずかな風でもしなやかに枝を揺らします。
大風が吹いても、同じように枝を揺らして風を受け流し、元のかたちに戻ります。
そして、何度も風を受けながら、成長していくのです。
      
レジリエンスについては、人間関係も重要なキーワードです。
脆弱であるために感じた小さな変化を伝えあい、お互いの弱さを補いあい、支えあいながら、ともに乗り越えていくことができるのでしょう。   
   
レジリエンスは、これからの組織づくりやリーダー育成、社会づくりを考える上で大切な概念です。
私たちチーム経営でも、研修や勉強会、ワークショップなどで、折に触れてレジリエンスをテーマにしています。
無理に抵抗するよりも、互いを支えあうチームの力をもとに、さまざまな困難をうまく乗り越え、成長していっていただきたいと考えています。
      
今回、センター試験を受けた学生さんたちは、レジリエンスを知るいい機会になったと思います。
つづけて関心をもってくれたらと思います。
     

  • 事例紹介
  • 会社情報
  • 用語集