株式会社サワダ製作所様では、2007年の2月から、チーム経営に取り組まれてきました。

1、サワダ製作所様との出会い

(1)出会い E製造業の会

株式会社サワダ製作所の澤田社長との出会いは、インターネットを利用した売上増大を目

 

指す製造業の方々の集まり「E製造業の会」でのことでした。2006 年5月にチーム経営がそこで、「会議を変えれば組織が変わる」という題で、ファシリテーション型会議のあり方とリーダーの役割について講座を行ったのです が、その参加者として社長がおられたのです。

その後、澤田社長は、月一回開かれている「ファシリテーション実践研究会」や、チーム経営の講座に参加され、自社への導入を検討されてきました。

(2)ファシリテーション研修の実施

そして2007年の初めに澤田社長から、各部門レベルでの会議を活
性化するため、ファシリテーション研修をして欲しいという依頼を受けました。澤田社長の 問題意識として、部門内の会議で、メンバーが自由に発言 できておらず、トップダウン型以外の仕事の進め方ができていなかったことがあげられます。そこでまず下記のようなステップで研修を実施しました。(研修の ねらいは次項に赤字の部分で示しています)

ステップ1 会議ファシリテーションの勉強会  全社
目的 協動力を向上する会議ファシリテーションの枠組みを知り、体験する

ステップ2 ファシリテーター、書記のスキル習得のためのロールプレイ 各部門
目的 ファシリテーション型会議を自ら運営できるための基礎的スキ
ルを習得する

ステップ3 会議ファシリテーションの現場適用支援(フォローアップ)
目的 ・ステップ3までに学んだスキルを、実際現場にある程度適用していく
・具体的には全社的に適用する会議ルールを決定する。


ねらいに対する評価は以下の通りでした。

ファシリテーション研修の評価シート<赤字がねらいとした部分>評価者10名
研修が始まる前を評価3とした時、下記の項目の現状を、あなたの視点で評価して下さい。



 
<効率性の指標>
 
 
5点満点
1
会議に費やすマンパワー(人数X時間)が削減された
3.6
2
重要な課題について、どのように話しあって行くのかがデザインされている
3.6
3
緊急度・重要度などに応じて課題にかけるべき時間・体力を意識できている
3.6
 
<創造性(課題解決力)の指標>
 
4
組織の重要な課題(アジェンダ)が、新たに明確になった
3.6
5
会議において優先的に討議すべき課題(アジェンダ)を明確化できている
3.1
6
重要な戦略的課題(アジェンダ)の検討に、今まで以上に時間を割けている
3.2
7
課題解決のために、遠慮なく意見・アイディアがいえる雰囲気がある
4.1
8
課題(アジェンダ)を解決していくのに必要な知識・スキルが意識できている
3.6
9
メンバーが自分の業務上の役割分担にとらわれず、積極的に課題に向かっている
3.4
 
<個人の成長の指標>
 
10
メンバーにとって会議が、新たな情報・考え方にふれる学びの場になっている
3.5
11
会議の中などで、メンバーが自分の考え方、コミュニケーションのくせに気づいた
3.8
12
メンバーの会議への満足度が向上した
3.3
13
メンバーの一人が会議メモを作成でき、それを整理できる
3.7
14
メンバーの一人がファシリテーターの基本的機能を果たせる
3.6
15
メンバーが会議のプロセスのふりかえりができる
3.3
16
メンバーが、どんな議題をどのように話していくかの会議の設計ができる
3.1
17
リーダーが会議ファシリテーションにおけるリーダーシップのあり方をマスターしている
 
<組織の成長の指標>
 
18
協働のための会議ルールが皆に共有されている
4.1
19
会議を進めるための役割(ファシリテーター・書記など)が皆に理解されている
3.5
20
会議自体が、ふりかえりによって常に改善できるようになった
3.1
21
実行しやすく、メンバーの納得度が高い意思決定の方法が選択できている
3.4
22
情報が整理整頓され、メンバー間で必要な情報がよりよく共有できるようになった。
3.4
23
経営者が業務のコントロールをよりよくできるようになった
3.3
24
組織目標が、メンバーによりよく共有されるようになった
3.3
25
組織にとって新しいやり方、考え方、スキルなどがメンバーからもたらされた。
3.


2、三位一体会議の創設

(1)三位一体会議の立ち上げ

このような研修の結果、会議ファシリテーションを使って、知恵とチカラをあわせて経営課題を解決していく体制は、一定程度整いました。しかし、研修実施の中で次のような課題が浮かび上がってきました。

・部門ごとの独立意識が強く、全社的視点から課題解決を図る人が社長以外にいない。
・部門間の立場や価値観、考え方の違いから、 部門間会議において、互いの意思疎通が十
分に行えない状況がある。 結果として、顧客ニーズに対応しきれない場合もあった。
・メンバーの発言を大事にし、みなの合意を大切にするあまり、決定の質の軽視が生じている。そしてリーダーがこうした問題への対処法を知らない
・部門内部では、インフォーマルさの規範が、部門間では、フォーマルさ(堅苦しさ)の規範が強く働き、知恵とチカラをあわせた話し合いを妨げるケースがある

こうした現状を澤田社長と話し合い、部門長レベルで、「重要課題について、真剣に知恵とチカラをあわせ、妥協しないで解決する経験」を持つことが、会議 ファシリテーションを定着させ、職場を活性化するのに必要であることが共有されました。特に部門間会議でこれがなされることで、部門間の協力関係をはぐく み、社内の風土改革に役立つと考えられました。

こうした問題意識から、2007年6月部門長、部門代表と社長、合計5名がメンバーとなり、部門をまたがる議題を解決していくための「三位一体会議」が創設されました。今から考えれば、ここでこの会議を創設したことが、大きな職場活性化の力を生むことになりました。

<三位一体会議の位置づけと大目標>
大目的:会議の位置づけと大目標:営業、製造、技術が三位一体となってすすめる必要のある、部門間にまたがる課題を管理する
  1. 部門間の課題を洗い出す
  2. 部門間の課題の解決案を考え(意思決定)、その実行をチェックする
  3. 部門間の課題を解決する実行計画を立て、その実行を支援する



(2)三位一体会議の成長

A.2007年5月~ 部門間の価値観の違いの掘り起こし
こうして作られた三位一体会議ですが、当初からいきなり目覚ましい成果をあげたわけではありません。当初、目標形成について、引っ越しについて、SDBR 手法導入などについてと、トップダウンで議題が下されていました。また、会議の改善に不可欠なふりかえりの実施も少し難しいような場の雰囲気があったので す。部門間の遠慮も容易には払しょくされませんでした。
しかし、会議ファシリテーションを続けるうちに、徐々にメンバーから部門間にまたがる業務上の課題がだされるようになってきました。例えば、新製品開発案 件における、開発部門と営業・製造部門の連携などがそれの例です。そして、このような具体的で部門にまたがる、業務レベルの課題を皆で話し合い、解決する 経験を積んでいきました。
こうした話し合いの中で、各部門の価値観や考え方、仕事の進め方がいかに違うかを皆が気付くようになっていきます。この時期に、こうした価値観の違いを「掘り起こす」という言葉が会議で頻繁に使われるようになっていきます。
知恵とチカラをあわせて部門間が協力できる体制が整ってきたのです。

B.2007年11月~ 部門間の協力関係の深化
その後、この会議では、価値観の違いを「掘り起こす」作業が意識的に進められました。結果として部門間の理解が進み、連携が強化され、部門間にまたがる課 題を、速やかに解決できるようになっていったのです。顧客ニーズに迅速にこたえることの重要性が共有されていったと言い換えてもいでしょう。
より具体的には、この時期、まず部門間にまたがる課題が大幅に増え、最後には多くの課題が解決されていきました。会議の中の自由度が高まり、メンバーからだされる課題が増えたこと、そして部門間の協力関係が緊密になり課題の解決が加速したことが原因と考えられます。

同時にこの時期、次年度の目標形成について、この会議が取り組むチャレンジがなされました。今までは社長と、部門長が一対一で話し合い部門目標を決めていたのですが、この三位一体会議で方向性を共有し、その後部門目標におろしていくよう、手順が変更されたのです。
これも、今思えば「会議という場」を使って組織運営を行っていくための、大きな転換点となったと感じています。

C.2008年5月~ 三位一体会議(経営)の創設

この時期は、これまでに築いてきた部門間協力関係をベースに、業務的課題だけではなく、経営上の課題を三位一体会議において管理できる体制づくりが目指されました。同時に、部門長レベルの中から、全社的な経営的視点から判断できる経営幹部を育てることが目指されたのです。
そのため、今までの三位一体会議に加え、経営的事項を話し合う「三位一体会議(経営)(月一回)」が創設されました。これは経営課題・目標を三位一体会議というグループで策定し共有し、解決への意思決定を行うという組織運営への転換だったのです。

三位一体会議(経営)の目的:
  • 社長と経営層の経営課題についてのベクトルを共有する
  • 経営層が必要と思う課題を場に出し、管理し、解決する(営業、製造、技術が三位一体となってすすめる必要のある、部門間にまたがる課題など)
  • 目標会議など(ボトムアップ)で出された課題を拾い上げ交通整理する
  • 現状をレビューし、サワダ製作所の方向性を決める
このため、当初はメンバーも慣れず、社長もメンバーの視点が業務レベルから経営レベルになかなか上がらないと感じておられるようでした。当時のふりかえり 用紙に記載された会議への満足度を見ても、三位一体会議(経営)の方は、満足度が低くなっているのがわかります。再び何をどのように話し合っていったらよ いのかの手探りが続いたのです。


D.2008年11月~ 三位一体会議(経営)の定着と目標管理体制の変更

その後、三位一体会議(経営)は、徐々に定着していきます。経営数値をベースとしながら、各部門の報告と検討、現在取り上げるべき経営課題の検討など、話 し合うべき内容と手順が定まってきています。こうした取り組みの中で、徐々に経営的視点を持って会議に参加するメンバーも増えてきたと澤田社長は感じられ ています。

(3)いま、新たな挑戦へ~職場全体の活性化へ~

このように、サワダ製作所様では、部門長・部門代表と社長という5名のメンバーの価値観の掘り起こしと共有、その中での関係性の強化によって、核となる「知恵とチカラをあわせる場」を形成してこられました。
しかし今、職場全体を活性化するという観点から
?係長レベルに三位一体ができる体制を広げていくこと
?製造部など大人数の部において、係を超えて課題解決できる体制を築くこと
などの経営課題に取り組むことが求められてきています。

こうした中、サワダ製作所様では、部門にまたがる業務的事項の管理と、各係レベルの目標管理について担う「三位一体会議(業務)」を創設し、係長レベルの メンバーが加わるようになってきています。またこの会議が、製造部の改善プロジェクトのような時限的なプロジェクトも管理できる体制を整えようとしていま す。

三位一体会議(業務)の目的
:経営目標、業務上の課題を三位一体となって解決できる体制をつくる
会議の大目標:
? 全社的な観点から重要と思われる業務上の課題の解決
? 部門間にまたがる業務上の課題解決
? 目標進捗チェックと目標の見直し
? プロジェクト会議をコントロールし、生産性を向上させる

サワダ製作所様における職場活性化のための「場」


3、チーム経営の成果

さて、このようにサワダ製作所様ではチーム経営に取り組んでこられましたが、2年がたったことから、当初からおられたメンバーに「変わったところ、よかっ た点、改善すべき点」について、グループインタビューを行いました。また場がどの程度作られたかを定量的にみるためのアンケートを行いました。以下はその 結果です。

(1)Part1 グループインタビュー

<質問>
「チーム経営に取り組み2年がたちましたが、この間に変わったところはどんなところですか?または、よかった点、改善すべき点=課題といっていいでしょうかはどんな点でしたか?どんな観点からでもいのでお書き下さい。

<結果>よかった点
A.事前準備
2年間の関わりで実現したこととして、まず会議の事前準備があげられました。具体的には、つぎのようなポストイットが出されました。
・会議の前に内容がわかる
・会議の前にメンバーと会議のことについて話すようになった
・<良い>会議は準備とファシリの出来次第で“良くも”“悪くも”なることが理解できた

B.ファシリテーター
また同時にファシリテーターの重要性についてがあげられました。具体的には、つぎのようなポストイットが出されました。
・ファシリの出来次第で会議の良し悪し
・話がからまわりしにくくなった(ファシリテーターがいる)

C.会議の質
こうした事前準備とファシリテーターの存在によって、会議の質が向上したと感じられています。具体的には、つぎのようなポストイットが出されました。
・<良い>部門内外で会議する際は、議事録(会議メモ)を取って行うことが当たり前になった。
・<良い>博野さんが三位一体会議にいなくても、会議ができ始めたところ
・三位一体会議の他にも、製造改善会議や目標会議、3Sリーダー会議などの会議で社内が活性化したこと

D.時間を守る
こうした会議の質の高まりは時間への意識も変化させているようです。具体的には、つぎのようなポストイットが出されました。
・時間を守るようになった
・会議に時間制限ができて、エンドレスに行うということがなくなってきた

E.全員参加
こうした会議の質の高まりは、全員参加という形で成果として現れたと感じられています。具体的には、つぎのようなポストイットが出されました。
・全員参加の意識が高まった
・みんなの同意がとれている
・社長といえども、チームの決定に従うようになった


F.他部門とのコミュニケーション
こうした会議の質の高まりと全員参加の機運は、他部門とのコミュニケーションの活性化という成果をもたらしたと感じられています。具体的には、つぎのようなポストイットが出されました。
・他部門と連携がしやすくなった
・他部門と話がしやすくなった
・他部門の動きがわかりやすくなった
・各部署の見方が異なっているので、1つの事柄についての共有化が会議を通してできたこと
・製品のことがちょっとわかるようになった
・他部署の苦労がわかるようになった
・直接関係のない話にも耳を傾けるようになった

G.経営系の意見が出る
こうした会議の質の高まり、全員参加の機運、そして他部門とのコミュニケーションの活性化は、会議において経営にかかわる意見を言えるメンバーが成長するという成果をもたらしたと感じられています。具体的には、つぎのようなポストイットが出されました。
・<良い>経営層の話になった際、他部門の意見が聞けること
・業務上の課題から、経営上(会社の方向性)についての課題にシフトしかけていること

<結果> 改善点

上記のような良い変化があった一方で、さまざまな課題も明確化してきています。それは良い変化の項目に大体対応しています。
A.事前準備
・事前準備に時間がかかるようになった

B.ファシリテーター
・会議の進行がうまくできなくて反省することばかり

C.会議の質
・時間を守ろうとして内容が薄くなってしまうことがある
・あまり深くまで質問しない(遠慮してしまう)
・会議の内容がPDCAになっておらず、表面的な話に終わることがある
・会議の生産性向上が課題としてあがってきたこと

D.時間が足りない
・いろいろな会議に出席しなければならず、時間が足りなくなってきていること
・会議を通していろいろなプロジェクトができたけど(改善など)、会議が増えすぎて仕事ができなくなった
・会議がなかなか時間通り終わらない
・決定まで時間がかかる(リーダー一人が決めていた時は時間がかからなかった)

E.参加意識
・関係ないところでは関心が薄い
・課題が出た際にオーナーが私事ではないような感じを受ける時がある

F.その他
・居心地はあまり(以前と)変わらない


(2)Part2 アンケート結果
A.自由で守られた場の実現度合い(6点満点)
自由で守られた場については、2年前と比較し、それほど大きな変化は見られません。ポストイットで居心地は変わらないとあったように、2年前から一定程 度の自由で守られた場は存在していたと考えられます。ただ、互いの持ち味をいかし影響を及ぼしあうなどの項目では一定の改善が見られています。


B.目標に向かって、真剣に妥協せずに向かっていく場(6点満点)
目標に向かって、真剣に妥協せずに向かっていく場については、2年前と比較し、一定の改善が見られます。特に時間管理の在り方については、2.5ポイント、話し合い方、役割分担については2ポイントの改善が見られました。


C.互いに伝えあい、学び合う場(6点満点)
今回もっとも印象に残ったのが、上記(1)(2)が少し崩れた際に、それをふりかえり、メンバー同士が互いに伝えあって修正できる場がどれだけ形成さ れたかについてです。これは2年目と比べ1.8ポイント改善し、自分たちで場を修正できる力がついていることを示していると思われます。



D グループの成長とグループへの魅力度の度合い



グループの成長は、4つの懸念の解消とともに進むと言われています。アンケートを見ると、受容懸念(メンバーが、グループに受け入れられてないと感じる度 合い)、目標形成懸念(自分の目標とグループの目標がすりあわされていないと感じる度合い)、社会的統制懸念(自分はグループ運営に影響を与えられていな いと感じる度合い)などが低下しています。

具体的には受容懸念、目標形成懸念、社会的統制懸念がそれぞれ0.4~0.6ポイント程度下がり、グループの魅力度が0.6ポイント上昇しています。これも自由で守られた場、居心地の良さなどがすでに2年前から一定程度存在していたことが原因と考えられます。

逆にデータの流動的表出懸念(本音で話せない、感情を自由に出せないと感じる度合い)については、0.7ポイントの上昇となり、懸念がましています。(推測ですが、リーダーとして発言内容に気を配る度合いが増したことも原因かもしれません)


4、社長インタビュー

また、チーム経営を導入して、職場がどのように変わったかを澤田社長にインタビュ―しました。以下がその内容です。

A.チーム経営との出会いから早くも3年たとうとしています。感想は?

一言で言って、ファシリテーションを入れてよかった。情報の流れ、意思決定の流れが変わったし、まだまだ変わるだろうと思える。導入前は、部門間の壁があり、個人同士は話してはいたが、部門としてコミュニケーションが不十分だった。
経営上の組織運営としては、導入前は社長―部門長が一対一で行ってきたが、全員で集まって共有するということはなく、今思えば、スピードが遅かったと思う。ファシテーションの導入によってスピードアップしている。
また人が育ってきた。Kさんなどは経営的視点を持ってくれるようになっている。定例会議以外でも、自主的に集まり、打ち合わせ、自分で考え動くようになっている。

B.会議改善プロジェクトを依頼するまで(きっかけ、迷い、ねらい、決意・・・)

もともと「すごい会議」という本がベストセラーとなり、著者の大橋さんの講演を聞きに京都までいったこともあった。本にあるような意思決定のあり方が必要 だと考えるようになった。大橋さんはあるコンサルタント会社と契約しコンサルタントをしていたが、値段が高いこともあって・・・。
そうした際、E製造業の会の村上さん主催の勉強会で、チーム経営の講座があった。最初は半信半疑だったが、博野さんがされているセミナーを何回か受けて、値段も安かったので・・。
私は個人的にはきっちり枠組みがあり、手順が決まったものが好きなのだが、大橋さんのものにはそれがあり、チーム経営のものにはそれがなかったように感じた。(講座で具体的にどうすればよいのかわからなかった)
ただ、組織的には問題の重要性はわかっていたし、自分ではできないとも思っていたので、他に打つ手がなかったので依頼することにした。

「チーム経営」という言葉にはアレルギーはない。社長なんて10年以上続けるものではないと思っていたので、ほっておいても回る体制作り、集団でマネジメントしたいと思っていたので。それで、ISOを導入し、管理しやすくしたり、業績給を導入したりした。
しかし、ファシリテーションは9年間いろいろやってきた中で、一番効果があったと思っている。やはりグループダイナミクスの力はすごい。1+1が3,4になる感じがする。特に、ここ1~2年の「三位一体会議」でそう感じる。
?ファシリテーションを活用する際のリーダーの役割とは?また、リーダーが大事にすべきことは?(リーダーの立ち位置 進行などを任せる不安への対処など)

やはり話を聴くこと、彼らが何を考えているかを知る必要があるとは感じる。また発言するポイントを設けている。最近特に経営的事項を取り扱う「三位一体会議」を作ったが、そこでは、メンバーに経営的視点を持ってもらうこと、つまり経営幹部育成をねらいとしている。
そこで、発言内容が経営レベル以下の場合、レベルの高い視点で見られるように発言することにしている。だから話題がいまどういうレベルで話されているかを見極めることが大事だ。
一方、話しが流れて、みんなが解決できる方向に行っている時は、極力黙るようにしている。もちろんアイディア出しなど、発散のプロセスでは発言するが・・。

進行はファシリテーターに任せているが、大きくは自分の思う納得できる方向に向かっている。納得できない方向に向かったことはない。会議において1つの議 題で、みんなから情報が出そろえば、グループで適切に意思決定ができる。なぜなら情報が出尽くせばもっともよい意思決定はロジカルに出るはずだから。

逆に任せる不安は、スピードが遅くなることだ。私たちのような品質や製品で差別化が難しい中小企業では、改善などのスピードはとても大事だ。しかし、いま のところ、あるべき姿よりも遅く感じる。ただ、そうはいっても以前のタテ型で運営していたほうが遅かった。一見命令すれば早いようだが、社長が言ったこと を消化しきれない。いまの三位一体会議で運営している方がスピーディ。でもまだ遅い。

C.従来の1対1での組織運営方法から、会議を中心にメンバーと共有しつつ、知恵とチカラをあわせて解決・運営する体制への変更の決断は大きな決断と思うが・・・

たしかにそうだ。1対1で組織運営していたところから、まず三位一体会議(業務)を作った。ここでは、タテ割の部門の間にこぼれる(またがる)課題を取り 扱った。そこでのグループの流れを見ていると、徐々に部門間のコミュニケーションがよくなり、問題解決力が向上していった。
もともと経営的事項を集団で取り扱いたかった(集団的経営のイメージがあった)のだが、三位一体会議(業務)でのこのダイナミズムを見て、経営的課題をグ ループで取り扱うことを決断した。三位一体会議(業務)で取り扱った課題も徐々に減ってきたので、これがチャンスだと思った。

こういう流れなので、ファシリテーションによって組織が想定外の方向に向かっていると感じたことはない。

D.一番しんどかったこと、よかったことは?(ファシリテーションの導入は、組織のみんなを幸せにしたか)


個別の会議ではあるが、全体の流れの中では特にしんどかったことはない。まずいなと思った時は、きっちり怒った。「まだこんなレベルか!」などもどかしい ことはあった。ただ、これまでも失敗が多かったので、うまくいかないことがあっても、ファシリテーションをやめようとは思わなかった。まあ、うまくいかな くて当たり前くらいの気持ちはありました。

嬉しかったのは経営的事項のところに話がシフトしてきたこと。社長がある視点ももって臨んでいても、メンバーからより良い視点がだされ、「ああ、そうか、 じゃあこうしればいいかな」など、相乗効果がうまれより良い方針がさせている。まだまだこれからだけど、博野さん(チーム経営スタッフ)が抜けて自分たち だけで会議をやってもやれるようになったことも嬉しい。

ファシリテーションの導入が、組織のみんなを幸せにしたかどうかはわからない。確かに自律的組織にはなった。ただ、社長の仕事をやらせているわけだから、しんどさも感じている。しんどいけど、考えてくれる。考えなあかんと思ってくれるのがうれしい。

E.今考えてチーム経営に依頼されて期待通りだったか?想定外のことはあったか


嬉しい方の想定外だった。他の経営手法、例えば3SやSDBRなどの施策との相乗効果がある。業務会議などでもいわれなくても改善ができるようになってきている。

ファシリテーションは組織をスムーズに動かす潤滑油のようなものと感じる。または、これを使うと燃費が10%アップしますよという油のようだ。社長が持つ経営理念や戦略がないと全社は動かないが、それをよりよく動かす手法がファシリテーションだ。

F.LLCチーム経営の支援を、どのような企業に薦めたいか?

柔軟な発想を持つ経営者に薦めたい。自分で考えて、動いて、命令してというワンマンでない・・。いや、ワンマンでもいけるかもしれない。柔軟さが必要。自分の思いだけで動かそうとし、他の人の意見を「こいつ、何言うてんねん」ではファシリテーションは使いこなせない。

あと、グループダイナミクスを見られる人、少なくとも知識があることが必要。会議の中で「いま、何が起きているのか」がある程度見える必要がある。また例 えばTOC理論の中にロジックツリーがあるが、このロジックを見てアレルギーを起こさず、「なるほど」と言える人が使いこなしやすいだろう。
それから、ファシリテーションだけでは何もできないことも知っている必要がある。これは、他の経営手法で戦略をどうおろしていくかの手法と同時に使う必要 がある。従って、その手法、例えばトヨタ生産方式の背景をどこまで理解しているかが大事。たとえばこの手法だと最終的に「なぜなぜ」を追求していくが、こ こでファシリテーションが生きてくる。
どのような経営手法でも、その本質をわかって使いきり、改善していく、つまり深みがわかっている経営者が必要だろう。逆に手法に詳しくなく勘でやっている人には、社長へのコーチングが必要だ。

G.その他自由に(今後に向けて、私たちへの要望・・・・)

この流れを続けていく。当社ではコミュニケーションは3層に分かれる。トップ層、ミドル層、一般層だ。トップ・ミドルはそれぞれ三位一体会議がある。一般層についてはこれから。

あと博野さんの関わり方は、通常のコンサルタントは違った方法だと感じる。通常は、経営者対コンサル、当事者対コンサルとなり、「答」を出すが、博野さん は、グループの中でファシリテーションしながら、経営の専門的バックグラウンド(中小企業診断士など)を持ちつつ、アイディアを出してくれる。
これが実は方向付けになっていることが多い。またスタッフがこうすればいいのかと気学ぶ(研修とかではなく実地の会議で)教育訓練になっていることが多い。これは普通のコンサルとは違うように思う。ふつうはできないのではないかな?とてもキャラクタリスティックだ。
こうした動きによって、チームの成長を目指されているように感じる。スピードは遅いが。でもチームの問題解決力がアップすれば・・・。
 
2011年、B-plazに掲載されました。