私たちチーム経営のアドバイザーである、長尾文雄さんは、長年「いのちの電話」の相談員のサポートをしてこられました。
 
「いのちの電話」とは、自殺者の予防のための電話で、ボランティアの相談員たちが、24時間交代で電話を待ち、電話があれば対応しています。
  
長尾さんが「いのちの電話」の広報誌に、こんな印象的な文章を寄稿されています。
「いのちの電話」にかぎらず、支援ということに共通しているように思います。

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■深い穴の底から空を見る

深い谷底か深い穴の底に落ち込んでいる状態を想像してください。谷底から上を見上げると、空ははるか上にあって、もうここから這い上がれない。抜け出せない、自分はもうダメだ、ここで人生を終えてしまうのか、などの思いが頭の中をかけめぐります。

その時、谷の上から「どうしてそんなところにいるの。そんなところで上を眺めているから暗くなるのよ」と声をかける人がいたとします。下の人は、今の自分の状態を分かって、助けてくれる人が上にいると思えるでしょうか。

「落ち込んだ」「落ち込む」という言葉は、人生の様々な場面で遭遇する失望、絶望、悲観、孤独、無力感などを谷底に落ちた状態に例えているのでしょう。

もし、その人が下りてきて自分の側に座り、一緒に周囲を見上げて、「ここから見ると、このように見えるんだね」と言ったりすると、どうでしょうか。

落ち込んだところから周囲を見ると、人は皆、楽しく明るく、優秀。だのに自分は不器用で、バカにされている、自分の気持ちなんか分かってくれる人はいない。このように感じるかけ手が電話の向こうにいます。

電話相談はこのように落ち込んでいる人に共感をもってどのように関わるか、加えて効果的な援助が出来るかが問われているのです。
 
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