対人関係の場

<対人関係の場>というのは、私たちが他人となんらかの関わりやコミュニケーションをしている相互関係の場のことである。

 相互関係の場には、単純化すると自分と相手である他人がいる。この二人の間に何かがやり取りされて相互関係が成り立つのである。

 やり取りされているのは何か。普通は言語でやり取りされている内容にあたるもの。それぞれが持っている課題に添った知識。その中には、各々の経験に裏付けられた考えである現状把握・原因・因果関係・分析・診断・解決策・選択肢探索・結果検証・提案・助言・説得・援助行動などが含まれる。図で言うと外側の楕円にあたる。

 しかし、この知識や技能は、内側の楕円にある、個々人の所有している感覚・考え・感情・欲求・行動といったものが根底にあって形成されている。これらは自分も持っているし、相手である他人も同じように持っている。しかし、その中身は一人ひとり異なる。

 対人関係は関係する双方の間でなんらかの課題解決を求めて進行していくが、この関係や話し合いに大きな影響を与えるのが、個々人の感覚・考え・感情・欲求・行動といったものである。これは本人が明確に意識している場合もあるが、しばしば気づかなかったり、意識化できていないこともある。

 感覚というのは五感で感じること。視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚。一人ひとりの固有の感じ方である。

 考えは、今までに蓄えた知識と思考によって組み立てられたその人の価値観、信念や信条などで、意見・助言・解釈・理屈や理論として表現される。過去の対人関係のなかで学んだことが大きな影響を与える。

 感情は、<いま、ここ>の関係の場で自分と相手との中にわきおこってくる心の動き、つまり気持ちのこと。

 欲求とは、自分のこうしたいことやある意図で行おうとすることである。

 以上の感覚・考え・感情・欲求などをもとにして出てくるのが行動。言語をともなう行動と非言語の行動がある。

 これらのものが、対人関係の場でやり取りされ、影響を受けあいながら、蓄積されてお互いの固有の経験(知識)となっていく。この経験が、また<いま、ここ>での自分の感覚・考え・感情。欲求・行動に大きな影響を与えていく。関係の場は相手や他者との影響関係の場であると同時に、自分の中にも内と外との影響関係の循環が起っているのである。