人間関係塾3時間目  傾聴と受容2

 

◇積極的傾聴

カウンセリングは一般的には「相談」と訳されて、カウンセラーが相談者の話を聴いて助言や解決策の提案をすると理解されています。しかし、本来のカウンセリングは、「聴く力」すなわち、傾聴の力を十分に用いて行うもので、積極的傾聴と呼ばれています。

 カウンセリングは、まず、相談者の話さらにはその人自身のことをしっかりと受け取るところからスタートします。相談者がこの人ならば自分のいまの悩みや心の内を話しても聴いてもらえると判断したところで、カウンセリングの関係が成立するのです。

 カウンセリングは、次のように定義されています。
 「いろいろな問題に直面し、自分の力だけでは問題解決ができない状況にあり、援助を必要とする個人と、その人に援助の手をさしのべようとする専門的訓練を受けた人とが、一対一の対面による相互の話し合いをおこない、問題の整理や感情の支えをし、援助を必要としている人自身が問題解決の選択肢を探しだし、どれかを試みる勇気を持てるように援助する活動のこと。」

専門的訓練を受けた人というのは、カウンセラーであり、その代表的な資格は臨床心理士です。ここで一対一の話し合いで用いられるのが、「聴く」つまり積極的傾聴なのです。
 カウンセリングで用いられる傾聴は、カウンセラーと呼ばれる人のみが独占しているのではなく、広く対人援助に携わる職業の人や対人援助を目的とするボランティアにも必要な基本的な技能であるとされています。

 私は、理容師・美容師の仕事も広い意味での対人援助職であると考えていますので、皆さんにはこの「聴く力」である積極的傾聴の基本をぜひ身につけていただきたいと願っているのです。


◇積極的傾聴の基本

▽信頼関係を築く
 私の体験の中に出てきたよく話してくれる理容師は、私の職業や職場のこと、その日の気分などを訊いてくれました。これは、客である私に関心があるのだというサインです。自分に関心を示してくれることは、私の存在を認めて受け入れようとしていることが伝わってきます。
 初対面の人と会ったときに、お互いがこの人とうまくやっていけるかどうかを判断します。まずは、服装、表情や態度、しぐさなどいわゆる非言語の情報を観察し、あいさつなどの言葉を交わしていく過程で、この人となら安心できる、心を開くことができる、あるいはできないと判断するのです。
 店に入ってくるお客さんとの関係づくりは、こちらがまず声をかけ、表情や態度であなたに関心があり、私はこんな気分であなたを迎えていますよということを示すことなのです。

▽受容する
 会話を弾ませるために、自分のことを話します。先に自分の気持ちや思っていることをオープンにすると、相手はあなたのことが少し知ることができて、自分も何か応答してみようと考え、うなずいたり、少し気持ちを述べたりして会話が展開するのです。
 しかし、あまり一方的に得意な話題を話し始めると相手は煩わしく感じます。相手はこちらの気持ちやその時の気分を察知してほしい。疲れてくつろぎたいのに、そのことを認めてほしいと思います。

 それは、椅子に座った客としての自分をそのまま受け入れてほしいという欲求です。うれしいときはうれしいように、疲れているときは疲れているように、いまのあり方を認めて受け入れることを、受容といいます。
 あなたに関心があり、そのいまのあなたはそのままでいいのですよ、という思いを姿勢や態度でしっかりと表わすことが、お客を招き入れ、もてなすことになるのです。