よく研修などで「傾聴」のトレーニングをします。
しっかりと耳を傾けて相手の真意を受け取ることが、チームづくりや組織づくりに大切なことだからです。

トレーニングにあたっては、まず傾聴の必要性を説明し、聴く際に気をつけてほしい「コツ」のようなことをお伝えしたあと、ペアやトリオをつくって、傾聴を試していただきます。

「聴くってこういうことなのか」
「こんなふうに聴いてもらえるとこんな気持ちになるのか」
トレーニングを終えたあとは、いろいろな気づきのコメントがでてきます。
「聴きかた」ひとつで、相手との心理的な距離感が変わってきそうだという気づきは、大きな学びになっていると思います。

でも本当は、それだけでは足りないのです。

「傾聴」がうまくできるためには、「聴きかた」以前に、「相手を理解したい」という深い思いが大切です。
もうずいぶん前のことですが、ある人の話をじっくりと聴いたことがありました。
ずっと他愛もないような話題が長い間つづいたのですが、とつぜん涙をにじませながら語りだしました。

それは相手が「いま本当に伝えたかったこと」なのです。

感情の揺れ動く話題や、リスクのある話題は、すぐには話すことができません。
本当に伝えたいことを語るためには、長い間の「関係づくり」の時間が必要な場合があります。

傾聴はコミュニケーションのスキルであり、「コツ」を押さえることで、より効果的な聴きかたができるはずです。
ただ、その根底に「相手を理解したい」という思いがないと、表面的な言葉を相手の真意と受け取りかねないリスクもあるのだと思います。
理解したいという思いの上に「傾聴」のスキルが身についていると、相手との距離を近づける大きな力になるだろうと思います。

研修などの限られた時間では、ここまでお伝えすることはできませんが、「傾聴」について私が本当に伝えたいことは、こんなことです。