先日、西垣通さんの『集合知とは何かーネット時代の「知」のゆくえ』を再読しました。

西垣さんの著書は、(新書とはいえど)単なる技術論にとどまらず、とても奥の深いものが多いので、読み返すたびに「ああ、そうか」という気づきがあります。
ソーシャルネットやビッグデータを論じた本は多々ありますが、技術の紹介や安易な期待にとどまっていて、その背景にある思想に踏み込んだものは少ないなと思います。
  
さて、集合知とは、集団によって得られる知恵、いわゆる「衆知」です。
一人だけだと、あやふやな推測になることでも、集団の力によって、より正しい解を導くことが期待できます。
  
集合知が有効になるということは、個々人の推測のばらつきが小さくなることです。
そのためには、次の2つが条件だということです。
(1)集団の個々人の推測がより正しいこと
(2)集団の構成員が多様であること

*集団誤差=平均個人誤差-分散値

すなわち、一人ひとりは自分の経験や知識、価値観にもとづいて判断するので、どうしても誤差が生じます。
でも、集団が多様であれば、その誤差は相殺され、より正しい推測が得られるだろうということです。
  
多様な人が集まっても、多数派に合わせてしまう規範があると、意味がありません。
躊躇なく、多様なアイデアを考え、発言できることが大切です。
   
ダイバーシティ(多様性の尊重)の必要性は、女性活躍の機会やシニア活躍、外国人の雇用、多様な働き方の促進など、いろいろな効用が言われています。
それらはすべて大切なことですが、「組織がよりよい判断を得ることができる」ということも、もっと喧伝されてもいいのかなと感じました。


『集合知とは何かーネット時代の「知」のゆくえ』(中公新書)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121022033